第249章 申し込みたい

山口夏美は前田謙信と当たり障りのない景色問答を交わすと、北村由紀を探しに行くと言ってその場を離れた。角を曲がった頃には、あのスカートの主の姿はすでに消えていた。だが、見間違いようがない。あれは中島結子だ。夏美はあえて中島結子の目の前で前田謙信の好意を受け入れ、彼女の神経を逆なでしてやったのだ。

 部屋に戻った中島結子は、考えれば考えるほど怒りが込み上げ、新品の服を一着引き裂いてしまった。木下七海はその新作のスカートをもったいなさそうに見つめながら、心の中で『数千円もするのに。気に入らないなら私にくれればいいのに』と毒づいた。しかし口では「結子、急にどうしたの? 機嫌悪いじゃない」と心配そう...

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