第263章 他人がいらない脚本

台本を受け取ってからというもの、山口夏美はいっこうにオーディションの連絡をしてこなかった。それを不審に思った三水真司は、彼女の担当教員に電話で問い合わせた。

担当教員は少し驚いた様子だった。

「三水さん、台本なら一週間前にはもう山口夏美に渡してありますよ。もしかしたら他の用事で忙しいのかもしれませんから、もう一度本人に聞いてみますね」

言うが早いか、担当教員はすぐに山口夏美へと電話をかけた。これほどの良作、彼女には絶対に逃してほしくなかったのだ。

担当教員からの電話に出ると、山口夏美は小さくため息をついた。

「先生、オーディションを受けたくないわけじゃないんです。ただ、ちょっとした...

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