第265章

山口夏美は一ヶ月も家に閉じこもっていた。毎日あっさりした食事と骨を煮込んだスープばかり飲まされ、腹筋のラインすら薄くなりかけていた。しかし、山口美崎はどうしても彼女の外出を許さなかった。骨に傷がついているのだから、慎重に休ませないと後遺症が残る、というのが口癖だった。そんなある日、休みで帰省した岡本凜太郎から山口家に電話があり、気晴らしに出かけないかと誘われた。山口夏美は二つ返事で飛びついた。

岡本凜太郎が山口家へ迎えに来た際も、執事は降車時に必ず車椅子を使うよう山口夏美に念を押した。当の山口夏美は怪我もすっかり良くなっており、松葉杖の補助さえあれば十分だと思っていた。だが、両親も兄も首を...

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