第271章 夢を叶える

 山口夏美はこほんと咳払いをし、真面目なトーンで告げた。

「もちろん、あなたのほうが好きよ。それじゃ切るわね、バイバイ」

 相手の返答を待つことなく、彼女は通話を終了させた。

 岡本凜太郎は今、華京市にはいない。それなのに、数日おきに必ず電話をかけてくるのだ。

 彼と話すとき、自分の感情がほんの少し変化していることに彼女は気づいていた。いつの間にか、その着信を期待している自分がいる。

 忙しい彼の邪魔をしたくないという思いから、自分からかけたことはただの一度もない。いつも彼の手が空くのを待っていた。

 最初は「家で一人で退屈だろうから」というのが彼の口実だった。

 しかし新学期...

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