第276章 撮影に入る

「嘘でしょ?」

 中島結子は無意識のうちに声を荒らげた。

 竹中萌香は眉をひそめ、不機嫌そうな声色で言い放つ。

「お母さんが酒の席で聞いてきたことよ。お母さんの情報源を疑うっていうの?」

「ごめんなさい、萌香。そういう意味じゃないの。ただ、いくらなんでも筋が通らないじゃない。山口夏美なんてただの隠し子で、山口家は今でもあの子を公には認めてないのよ。おまけに今は足に怪我までしているっていうのに、どうして山口豪が彼女のためにそこまで大金を投じるわけ? もしかして、その足の怪我に山口豪が絡んでいて、これはその慰謝料ってこと?」

 竹中萌香は少し考え込んだが、やはり腑に落ちない。苛立ちを隠...

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