第326章 転機

五明温树がようやく戻ってきて山口夏美と合流した。二人は話し合いの結果、これ以上付きまとえばキム・テリの反感を買うだけだと判断し、ひとまずホテルへ引き返すことにした。

しかし、車を出して数分後。運転手の西村健太が、ふと戸惑うような声を出した。

「今すれ違ったタクシーですが……さっき、屋敷の外でも見かけたんです。ナンバーが同じでした」

「それって、どういうことですか?」

山口夏美は警戒心を露わにして尋ねた。

「そのタクシーも、私たちと同じ目的だっていうことですか? キム・テリ監督を狙って?」

「ええ、おそらく。どうもあの車の軌道がおかしいというか……運転手の精神状態があまり普通ではな...

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