第37章 前田謙信観戦

「前田謙信だ！」

「マジか、今日生徒会も活動あるはずなのに、来ないと思ってた」

その通り、前田謙信は生徒会長として、本来なら会議室で調整役を担っているはずだった。今日は学校に貴賓が視察に訪れるのだ。

しかし彼は、スヌーカー予選に山口夏美も来るとふと思い出し、段取りをしっかり済ませると、スヌーカー会場に忘れ物を取りに行くという口実で、何人かの生徒会メンバーを連れてやって来た。

会場に入るなり、彼の目に飛び込んできたのは、大スクリーンに映し出された彼女の顔だった。精緻で完璧、無表情に、相手のブレイクショットをじっと見つめている。

中村悠一は山口夏美のリラックスした様子と、プロら...