第39章 高嶺の花

中山琴子と木下七海も、中島結子の家が自分たちの家柄からすれば遥かに格上であることは理解していたが、岡本家や山田家には到底及ばないことも分かっていた。

今となっては、岡本凜太郎の怒りの矛先が自分たちに向かないよう祈るしかない。

三人はすごすごと脇へ退いた。

中山琴子はなおも不安げに、そっと尋ねる。

「結子、あの山口夏美って岡本凜太郎たちとあんなに仲が良いなんて、もしかして……」

中島結子は苛立たしげに彼女の言葉を遮った。

「ありえないわ。あいつらが女子数人のために喧嘩沙汰なんて起こすはずない」

木下七海は酸っぱい声で言った。

「あの子、どうしてあんなに男を誑かすのが...

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