第56章 陥れる

しばらくして、店内の客が少し減ってきた頃、中島結子たちはようやく席に着くことができた。

目の前のデザートを力任せに突き刺す。まるで山口夏美の顔に見立てたかのように、うさぎのケーキをぐちゃぐちゃにしながら、中島結子は溜飲を下げていた。

木下七海はムースを一口一口頬張りながら、嫌悪感を露わにした。「ちっ、大したことないと思ってたけど、やっぱりこんなもんね」

中山琴子「あんなに人が並んでるのも、ただ安いからでしょ。結子があんたのおごりじゃなかったら、私なんか絶対に来ないわよ」

中島結子の顔が曇るのを見て、中山琴子は慌てて言い直した。「心配しないで結子。二、三日もすれば彼女のデザー...

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