第67章 竹中蓮の家事

チケットを手に入れた北村由紀は、その貴賓席チケットの束を嬉しそうに振りながら、先ほどの木村文子の口調を真似て感嘆の声を上げた。

「あら! これって最高の観覧エリアの貴賓席チケットみたい。どこかさんのチケットはどこにあるのかしら。まさか、チケットなんてない、なんてことないわよね!」

そこまで言うと、彼女はわざとらしく眉を吊り上げ、口元を覆った。その憎たらしい表情に、山口夏美は思わず噴き出し、中島結子は怒りのあまりスマホを強く握りしめた。すべてはあの頼りにならないダフ屋のせいだ!

木村文子とダンス部の他のメンバーは、皆、責めるような視線を中島結子に向けていた。彼女は以前、自分にはコネが...

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