第70章 スイーツの拡張

スイートモーメントの商売は相変わらず繁盛していたが、オープン以来、山口夏美はずっとリーグ戦の準備に追われ、店に顔を出す時間がなかった。今日ようやく時間を作って顔を出し、黒田から営業状況の報告を受けていた。店内は以前の閑散とした様子から一変し、オープン三日間ほどの熱狂ぶりではないものの、客足が途絶えることはない。

黒田は満面の笑みを浮かべ、綺麗に記録された帳簿を手に説明する。「店のデザートは毎日完売しています。夜九時以降に売れ残った分は三割引で販売していまして、近所のお母さん方がよく売れ残りを狙いにいらっしゃいます。先月の売上は七十八万円で、材料費や人件費、それから初期の広告費を差し引いて...

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