第88章 賊は誰?

竹中萌香も視線を向け、それが前回自分たちと揉めた北村由紀だと気付くと、不思議そうに尋ねた。

「何かあった?」

木下七海が唇を尖らせる。

「今日は山口夏美が一緒じゃないのよ。北村由紀のあの貧乏人、どうせまたあのボロボロでダサい靴を履いてるに決まってるわ。本当、なんであんな子が私たちと同じ学校にいるのかしら」

中島結子は何も言わなかった。角が少し見えただけだったが、北村由紀が持っていた箱には見覚えがあった。まさか、彼女も新しい靴を買ったのだろうか? だが、彼女はそれ以上深く考えなかった。山口夏美もいないことだし、北村由紀のことなど気にするだけ無駄だ。

「ううん、何でもない。見間違い...

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