第256章

 水原蛍が会社に顔を出したのは、ひとつは社員たちに一斉休暇を取らせるため、もうひとつは、この一年分のボーナスと給与、それからインセンティブを支給するためだった。

 高橋逸人と約束したのだ。もし自分が会社を立ち上げたら、毎年最低でも二百億は利益を出すこと。それに、錦繍宝石でレアストーンのルートを買うのに使った二十億、その他もろもろの支出を合わせると──

 水原蛍がざっと計算したところ、自分が高橋逸人に負っている金は、およそ二百六十億に膨れ上がっていた。

 高橋逸人が何か言うことはないだろう。けれど、問題はそこではない。彼女自身が、それを許せない。

 会社の今年の売上は六十億に届かないく...

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