第260章

 ストローでフルーツジュースをちゅるっと吸い上げていたそのとき、ふいに近づいてくる黒い影に気づき、顔を上げた瞬間、まどかの口元に浮かんでいた笑みが一気にしぼんだ。

 背の高い男が、見下ろすように彼女を見つめている。

「……お前か」

 彼はそう呟くと、まどかの唇についた白いミルクの跡に気づき、鳳のような目にあからさまな嫌悪を浮かべた。

 さっきまでは、また母親がわけのわからない女を自分に紹介しに連れてきたのかと本気で身構えたところだった。

「こっちだって好きで来たわけじゃないし。蛍のためじゃなかったら、あたし――」

 太田まどかは言いかけて、ぷくっと頬をふくらませる。

「……やっ...

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