第272章

幸い蛍が素早く駆け上がっていったおかげで、今の会話を耳にしたのは羽と太田まどか、それから竹田だけだった。

太田まどかは陽一の背中に向かって、そっと親指を立てる。

それから視線を落とし、宇一と静留を見下ろして、にやりと意地悪く笑った。

「ねえ、宇一、静留。どっちかがおばさんにさ、あなたたちのお母さんが夜に高橋逸人とどれくらいの時間、どれくらいの頻度でしてるか教えてくれたら――おばさん、お正月に特大のお年玉あげちゃうわよ」

「ふんっ」宇一がツンと顎を上げる。「おばさん、そんな特大お年玉なんかじゃ、俺とお姉ちゃんは……」

豪語し始めたところで、太田まどかがすかさず畳みかけた。

「ロブス...

ログインして続きを読む