第274章

 水原羽は笑みを作り、胸の内の緊張を必死に押し隠していた。

「子どもなんて、元気が有り余ってて、騒ぐのが好きなんですよ」

 二人の少し後ろを歩いていた竹田は、二人が脇道へと折れていくのを目にして、首をかしげながら後を追った。

 こちら側は風を遮るものがなく、しかも今いる場所は少なくとも標高500メートルはある。冷たい風がビュウビュウと吹きすさび、針のように三人の体を叩きつける。

 だからこそ、こんな寒い場所で足を止める物好きなど、本来いるはずもなかった。

 竹田は、どうして二人がわざわざこんな所へ来たのかと訝しみながら目を向ける。その瞬間を見た。水原蛍が景色に見とれて立ち尽くしてい...

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