第50章

高橋逸人は机を叩いて立ち上がった。

「水原蛍、お前は黙ってろ。この事件はここで終わりだ。牛久山脈との協力をまとめたことは会社のためになった。お前は引き続き会社で働く。お前に支払う年俸は一銭も減らさない。美香、どうあれ、お前は輝煌グループの人間だ。この件を広めてしまうと、会社の面目が失われる。お前たちは一歩引いて、この件は終わりにしろ。もう二度と持ち出すな!」

高橋逸人は水原蛍を庇うつもりはなかったが、すべての証拠が彼女を指していた。彼女を解雇することはできなかったので、双方が一歩引くしかなかった。

これは高橋逸人が水原蛍と水原美香の争いで初めて本当の意味で水原蛍を選んだ場面だった。

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