第59章

水原蛍は感慨に耽っていた。自分の息子が、これほどまでに自分のことを理解してくれているとは。

彼を抱き上げ、自分の膝の上に乗せると、その頭をそっと撫でながら言った。

「こんなものはもう使っちゃだめ! あなたはまだ小さいのよ、悪い人に狙われたらどうするの?」

水原陽一の目がきらりと輝いた。

「僕がこれを使わない代わりに、母さんにもいくつか条件を守ってほしい」

「お母さんに条件ですって?」

「条件じゃないよ。母さん、聞いてくれる?」

「言ってごらんなさい」

「母さん、静留が王立音楽学院に合格したいって思ってるんだ」

水原蛍はぱっと顔を輝かせた。

「本当? それは素晴らしい...

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