第64章

村田舟は水原蛍を17階に案内した。17階は空きフロアで、彼女の新会社設立にはちょうど良かった。

水原蛍は落ち着き窓から下を見下ろすと、景色が美しかった。

彼女の個人オフィス空間も広々としており、輝煌グループよりもずっと大きかった。

最も重要なのは、水原美香というあの女の存在がないことだった。

村田舟が口を開いた「蛍さん、もしご満足いただけるなら、明日にでも内装工事の手配をいたします」

水原蛍は淡々と答えた「お構いなく。内装は私が自分でデザイナーを手配します」

村田舟は肩をすくめた。高橋さんを手玉に取り、高橋夫人になる可能性が極めて高い女性なのだから仕方がない。

村田舟は高橋逸人...

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