第214章 彼女には内緒で

林田ククが撮影を終えて一息ついていると、朝日明美が脱兎のごとく駆け寄ってきた。隣にドスンと座り込むなり、切羽詰まった様子で叫ぶ。

「親友! お願い、助けて!」

「何?」

林田ククはスマホから視線を外し、居住まいを正した。

「誰かにいじめられた?」

朝日明美は慌てて手を振る。

「違う違う、私をいじめる命知らずなんていないってば。昨日のことなんだけど、田中先生と話してて、今日彼が誕生日パーティーに行くって知ったの。その主役が誰だと思う?」

誕生日パーティー? しかも今日?

林田ククの脳裏にある人物が浮かぶ。彼女は目を細め、確信を持てないままその名を口にした。

「まさか……神崎遠...

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