第242章 理性を失う

林田ククは信じられないといった面持ちで藤原深を見つめた。心臓が冷たい重りをつけられたように沈んでいく。

「何をおっしゃっているんですか? あなたの目には、わたしがそんな人間に映っているというの?」

 カッと頭に血が上る。どこからそんな力が湧いてきたのか、林田ククは強引に藤原深の拘束を振りほどいた。失望の色を濃くにじませた瞳で彼を睨み、憤りを露わにする。

「はっきり仰ってください!」

 佐藤時言とはやましいことなど何一つない。彼はただ、梨のスープを届けに来てくれただけだというのに。藤原深は事情も知らずに頭ごなしにそんな言葉を投げつけて……これで寒々しい思いをしない人間がいるだろうか?

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