第253章 危

朝日明美と林田ククの付き合いは長年に及ぶが、二人が陳腐なメロドラマを見て抱き合いながら号泣するとき以外、林田ククが涙を流す姿などほとんど見たことがなかった。

そんな彼女が電話の向こうであれほど泣きじゃくっているのだ。その状況がいかに悲惨か、想像に難くない。

朝日明美は一瞬で酔いも眠気も吹き飛び、ベッドから勢いよく跳ね起きた。

「お金? いいわよ、いくら必要なの?」

林田ククは声を震わせて答えた。

「最低でも……千万円は……」

その金額を聞いて、朝日明美の頭は真っ白になった。だが、彼女は即座に了承した。

「分かった。待ってて、すぐに持っていくから!」

電話を切った後、朝日明美は...

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