第262章 追い出される

林田ククの声は決して大きくはなかったが、その場の全員に届くには十分だった。立ち去ろうとしていた人々が足を止め、驚愕の表情で彼女を振り返る。

藤原深は彼女の手を引こうと伸ばした腕を空中で強張らせ、信じられないといった様子で問い返した。

「……何だと?」

林田ククは、はっきりとした口調でもう一度繰り返した。

「言ったはずです。離婚したい、と」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、林田山が血相を変えて怒鳴り声を上げた。

「気でも狂ったのか! 何を馬鹿なことを言ってるんだ!」

水原祥子も慌てて取り繕うように口を挟む。

「深さん、ククはおばあちゃんが亡くなって気が動転しているだけな...

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