第268章 彼に金を返す

その様子を見て、神崎遠は舌打ちをした。

「まだ怒ってるみたいだな」

藤原深は無言のまま、諦めきれずに神崎遠のスマホを使ってかけ直した。林田ククはすぐに出たが、それが藤原深の声だと気づいた途端、即座に切った。

まだかけ直そうとする藤原深を見て、神崎遠は慌てて自分のスマホを奪い返した。

「おいおい、やめろって。俺まで着信拒否されたらどうすんだよ」

取り戻したそばから藤原深が手を伸ばしてきたので、神崎遠はすかさずスマホをポケットにねじ込み、背を向けて屋内へと入った。

こんな真冬に寒空の下で粘るほど、彼は藤原深のように狂ってはいない。

藤原深は暗く沈んだ瞳でその後を追う。

「スマホを...

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