第274章 馬にして

佐藤時言は諭すように言った。

「車はすぐそこだ。俺が運転して送る。背負われるより座ったほうが楽だろ」

林田ククは彼の襟を掴んで離さない。

「やだ、おんぶがいいの!」

仕方なく、佐藤時言は彼女の前でしゃがみ込んだ。背負ったまま辺りを一周してやると、林田ククは背中で随分と大人しくなった。

静かにしていると、可愛げがあるのだが。

佐藤時言がそう思った矢先、林田ククが突然、彼の方をペチペチと叩いた。

「遅い! あんた腎虚なの? もっと早く走ってよ!」

叩かれた佐藤時言は呆気にとられ、思わず足を止めた。

彼が止まると、林田ククはさらに強く叩いてくる。

「走れって言ってんでしょ!」

...

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