第283章 ちゃぶ台返し

青山静は、なぜ藤原深が林田ククを身一つで追い出したのか、その理由になど興味を失っていた。ククが藤原家から一銭も持ち出さなかったこと、それこそが彼女にとっての喜びだったのだから。

途端に気分が晴れやかになった静は、唇の端を吊り上げた。

「藤原家を離れて、金に困る生活はさぞ辛いでしょうね? どうかしら、私がその翡翠のペンダントを買い取ってあげるわ。タダで寄越せとは言わない。それを売って、生活の足しにすればいい」

その言葉には、隠しきれない優越感と、高みから見下ろすような憐憫、そして同情が滲んでいた。静は顎をわずかに上げ、品定めするようにククを見据える。

林田ククは彼女を見返し、ふっと笑い...

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