第299章 身代わり

藤原深は少し心外に思い、慌てて弁解した。

「俺が下心なんて持つわけないだろう。ただ……」

彼は言葉を区切り、少し声を潜めた。

「昨夜、お前を痛がらせなかったか確かめたかっただけだぞ」

林田ククは呆然と立ち尽くした。ドッと血が上り、顔が瞬く間に真っ赤に染まる。瞳の奥に微かな動揺が走り、一瞬、返す言葉を失ってしまった。

どういうこと? 今まで藤原深は、いくら酔っ払っても翌日には何も覚えていなかったはずじゃないの? なぜ今回は違うの?

全くもう、覚えておくべきことは忘れるくせに、覚えてほしくないことばかり鮮明に記憶しているんだから。

林田ククは歯を食いしばって言い放った。

「昨夜は...

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