第309章 誰が脅かせるの?

林田ククは花束を持つ手を微かに握りしめ、ためらいを見せた。

藤原深とはすでに離婚している。その上、離婚のことは藤原のお爺様には一切知らせていない。もう藤原家の人間ではない自分が、このままのこのこと戻るのは場違いではないだろうか。

藤原深は彼女の躊躇する姿に、瞳の奥に一瞬だけ失望の色をよぎらせた。彼はそれ以上待つことなく、田中申に向かって短く言い放った。

「行くぞ」

背を向けたその時、林田ククが声を上げて彼を呼び止めた。

「待って!」

藤原家の人間がどうなろうと知ったことではないが、お爺様のことだけは放っておけない。

藤原深と結婚していた三年間、お爺様は彼女を本当の孫娘のように可...

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