第343章 秘められた謎

藤原深は手に持ったワイングラスを強く握りしめ、先ほどの林田ククの警告するような視線を思い出し、グラスを神崎遠に突き返した。

「俺はやらん。やりたいならお前が行け」

神崎遠は手元の赤ワインに目を落とし、それから林田ククをちらりと見て、最後に長いため息を吐いた。

「ならやめておく。運を天に任せよう」

藤原深でさえ躊躇するのだ、自分にそんな度胸があるはずもない。

怒らせたときの林田ククは、決して甘く見れる相手ではないのだ。

ウェイターがすでに川崎玲奈の書を立て掛けていた。流れるような美しい筆致を前に、周囲の誰もが目を輝かせ、次々と感嘆の声を漏らす。

「さすがは蒼井先生の直弟子だ。山河...

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