第359章 引っ越し

すべての後処理に二日を費やし、ようやく花束を手に林田ククの自宅へと駆けつけた藤原深だったが、隣人から告げられたのは、彼女たちが一昨日のうちに引っ越したという事実だった。

藤原深は一瞬頭が真っ白になり、慌てて問い詰めた。

「どこへ越したか知っているか?」

引っ越しの事実を告げたのは、前回彼がここを訪れた際に出くわしたあのおばさんだった。焦燥を隠しきれない彼の姿を見て、おばさんは思わず吹き出した。

「あらあら、そんなの私に分かるわけないじゃない。根掘り葉掘り聞くのも悪いしねぇ。どうしたの、また彼女と喧嘩でもしたの?」

藤原深は瞳の奥を暗く沈ませ、低く「ああ」とだけ応じた。

喧嘩だと聞...

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