第381章 追突

新人の林田ククには知名度もなければ、これといった出演作もない。坂本栄一は、彼女がこの役を逃すのではないかと気が気ではなかった。

坂本栄一の焦りとは裏腹に、林田ククはあっけらかんとしていた。「落ちたら落ちたで仕方ないですよ。不合格になるのが怖いからって、行かないわけにはいかないじゃないですか。役者がオーディションに落ちるなんて、よくあることでしょう?」

芸能界には、今をときめく人気俳優でさえ、デビュー当初は数十から数百もの撮影クルーを回っても採用されず、エキストラから地道に下積みを重ねてようやく日の目を見たという者がごまんといる。

偉大な先輩たちでさえそうなのだ。林田ククが自分の女優人生...

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