第399章 嘘つき

林田ククは呆然と彼を見つめ、しばらくしてからようやく我に返ったように手を上げ、口元を乱暴にごしごしと拭った。

「……頭おかしいの? 今の、強引にキスしただけじゃない。セクハラでしょ!」

生まれて初めて「セクハラ」呼ばわりされたのだろう。藤原深は表情を止めたかと思うと、次の瞬間にはどこか不服そうに唇を尖らせた。

「ククちゃん、君は嘘つきだ」

その次のひと言は、さらに彼女の度肝を抜いた。

「俺の気持ち、弄んだ」

「はあ!? わたしが、あなたの気持ちを弄んだ!?」

林田ククは信じられず声を張り上げた。

何なんだ、今日の藤原深。口から出る言葉のどれもが、本人のものに思えない。

そも...

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