第415章 勘違いする

神崎遠はそれに気づいた瞬間、胸の内がふっと空っぽになった。

――朝日明美の心の中で、俺は一ミリも波紋を立てられないのか?

神崎遠があらためて朝日明美へ視線をやると、当の本人はまったく気づく様子もなく、上機嫌に鼻歌まで歌っている。顔いっぱいに浮かぶのは、もうすぐ田中大介に会えるという期待だけ。

理由のわからない居心地の悪さが、じわりと腹の底に残った。

明美の頭の中は田中大介で埋め尽くされていて、神崎遠の顔色なんて目に入るはずもない。うきうきと着替えを済ませて部屋から出てくると、瞳をきらきらさせて言った。

「行こ」

ところが神崎遠はソファに深く身を沈めたまま、まぶたを少し持ち上げるだ...

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