第427章 自制

藤原深は相変わらず黙ったまま。ちょうど係の青年が車を回してきたところで、彼はキーを受け取り、林田ククのためにドアを開けた。

「先に乗れ」

藤原深と付き合いが長い林田ククでも、こんなふうに露骨に逃げ腰の彼は初めて見た。余計に胸の奥がざわつく。

林田ククはドアの縁に手をついたまま、自分の顔色がどれほど悪いかも気づいていない。

「黙ってるなら、降格ね」

そもそも「級」とかいうのは、最初は冗談で言い出しただけだ。藤原深が本気にしたとしても、彼女自身は本気にしていない。けれど何かあると、反射的にそれを脅し文句にしてしまう。

藤原深は表情を崩さず、口角だけわずかに上げて内心ほくそ笑んだ。林田...

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