第432章 片想い

田中申は藤原深の横顔を見つめながら、心の中で思った。――藤原岳川も、今回は本物にぶつかったな。

だが、さっきの一触即発の空気を思い出す。警察が間に合わなければ、実際に手が出ていたかもしれない。そうなれば、藤原深に流れ弾が当たる可能性だってある。

だから田中申は念のために言い添えた。

「次からこういう場面は、藤原社長は俺に任せてください。万が一があるといけませんし」

藤原深は適当に返事をして、そのまま車に乗り込む。

田中申はエンジンをかける前、ルームミラー越しに藤原深をちらりと見た。言いたいことがあるのに言い出せない、そんな顔。

藤原深は顔を上げないまま、淡々と言う。

「言いたい...

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