第521章 彼の客

林田ククの目の疑いは、さらに大きくなった。

「神崎遠に持っていくの? 自分の分だって足りないって言ってたじゃない」

さっきまで朝日明美は、味の順番をどう並べるかぶつぶつ考えていた。滅多にないものだから、最大限の敬意を示すべきだとか何とか。

林田ククには、いったい何がそんなに貴重なのかは分からない。それでも友だちの決断は尊重するつもりだった。

――なのに、たった数言やりとりしただけで、朝日明美はまた一つ分け与える気なのか。

田中大介のために残すなら理解できる。けれど神崎遠に、となると話は別だ。

ククは目を細め、改めて友人をじっと見た。

「二人を天秤にかけてるわけ? いいじゃん。公...

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