第591章 見下す

林田ククは「そいつ」と聞いた瞬間、自分の兄が藤原深を相当苦々しく思っているのだと悟った。

そういえば以前から、川崎司光はやたらと藤原深に噛みついていた。川崎のおじさんがうちで藤原深と顔を合わせたときも、あの二人は明らかに水と油だった。――ようやく腑に落ちる。

とはいえ、川崎司光に嘘はつきたくない。嘘そのものが良くないし、なぜだか藤原深に理不尽な思いをさせたくもなかった。

だから曖昧に返す。

「……まだ、付き合ってる途中」

それを聞いた川崎司光は即座に察した。途中だの何だの、どうせこのままいけば結婚式だろう、と。

散々気をつけていたのに、結局そこをすり抜けられた。腹の底からむっとし...

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