第595章 初恋

林田ククは全身がぴくりと固まった。原田博也を見つめたまま、顔のどこに何を置けばいいのか分からない。ぎこちなく「……うん」とだけ返す。

原田博也は眉根を寄せた。

「本当に、俺のこと忘れたのかと思ってた」

「……とにかく、昔はわたしが悪かった。あなたに謝らなきゃいけなかった」

あの賭けの件。どうしたって、彼に一言くらいは筋を通すべきだった。

けれど男はさほど気にしていないのか、むしろ別のことを尋ねてくる。

「もう藤原深と、より戻したのか?」

隣の朝日明美が目を丸くして口を開けた。いきなり踏み込んでくるタイプだ。

林田ククは一瞬で表情を変え、冷めた目を向けた。

「同級生が気にする...

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