第610章 関係をうまく築く

藤原深は祖父に目を向け、榎本家の件を手短に説明した。

祖父はしばらく無言だったが、やがてぽつりと言った。

「これでよかったな。復縁はもう望み薄だ」

「そこまでストレートに言わなくても」藤原深は額を押さえる。

榎本家は由緒も地盤も桁違いだ。藤原深など、眼中にない可能性だってある。

「榎本家とは長いこと付き合いがなかった。まさか一生会わないと思って、言うこともきつくなった。なのにこの歳になって、お前の結婚のために頭を下げに行く羽目になるとはな」祖父は鼻で笑った。

藤原深は胸の奥がじんとした。「……ありがとう、じいちゃん」

「……最初からその覚悟がありゃ、離婚なんてするかよ」祖父は鉄...

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