第204章

そう言い捨てると、檜山元司は呆気にとられる二人を一瞥もしないまま、溜息交じりに背を向けた。

「俺が連れ戻してくる」

廊下には、取り残された千鳥凪紗と藤野拓介だけが佇み、気まずい風が吹き抜けたようだった。

檜山元司の背中が廊下の突き当たりに消えるや否や、千鳥凪紗の頬は目玉焼きが焼けそうなほどカッと熱くなった。羞恥と憤りが入り混じり、彼女は目の前の男を力任せに突き飛ばすと、脱兎のごとく寝室へと駆け込んだ。

バンッ!

寝室のドアが無慈悲に閉ざされ、続けて中から鍵をかける音がカチャリと響いた。

締め出された藤野拓介は、バツが悪そうに鼻の頭をこすった。扉の向こうから聞こえる微かな足音と、そ...

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