第31章

藤野拓介は顔を上げた。その瞳の奥で渦巻く殺意は、質量を持って肌を刺すほどに冷たく、鋭利だった。彼は氷のような視線を檜山元司に投げる。

「そいつらは椎名水緒に引き渡せ」

檜山元司は背筋を凍らせながらも、即座に頭を下げた。

「承知いたしました」

パトカーのサイレンがけたたましく鳴り響き、制服警官たちがなだれ込んでくる。彼らは火災現場の惨状と、制圧された数人の男たちを見て、直ちに現場の確保に動いた。

椎名水緒はハイヒールの音をカツカツと響かせ、地面に押さえつけられたスキンヘッドの男の前まで歩み寄る。

小柄な体躯だが、その場の誰よりも圧倒的なオーラを放っていた。彼女は無表情のまま男たちを...

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