第2章
生まれたばかりの息子の顔に浮かぶ緑色の瞳が、私の視線を捉えた。その瞬間、私の心は、最後に煌の目を見つめたあの時に引き戻された。私たちが共に未来を歩めると、愚かにも信じていたあの時に。
十ヶ月前、白桜大学の卒業式は、すべてが始まるはずだった。だが、それは終わりの始まりとなった。
あの金曜の夜、私はアパートでストレスからピザを貪っていた。そこに電話が鳴った。ルームメイトの由奈からで、キャンパス外のパーティー会場から、音楽に負けないくらいの叫び声が聞こえてきた。
「風花! こっちに来なさいよ! 私たち、大学生でいられる最後の週末なんだから!」
家にいたかった。ついさっき、また白桜医療センターから不採用のメールを受け取ったばかりだったのだ。「今回は他の候補者を採用することにいたしました」という一文を読むたびに、夢見ていた仕事が遠のいていく。看護師の学位は、扉を開くためのものであって、顔の前でバタンと閉ざされるためのものではなかったはずだ。
だが、由奈は「嫌だ」という返事を許してはくれなかった。
パーティーは、もうすぐ卒業する学生たちでごった返していた。誰もが、自分の将来に怯えていないふりをしていた。私はビールを一本掴むと、卒業後の予定もないまま世間話をしなくて済むように、人間観察ができる隅っこを見つけた。
その時、煌を見つけたのだ。
彼は医学部の友人たちに囲まれていて、部屋の向こうからでも、彼から放たれる興奮が伝わってきた。誰かが良い知らせを共有したのだろう、皆が彼の背中を叩き、祝杯を挙げていた。
私は二年生の頃から煌に片思いをしていた。まあ、誰だってそうだろう。彼は眉目秀麗で頭も良く、その名を冠したビルを持つような家柄の出身だった。私とは住む世界が違う。
でも、彼はこちらを見つめている私に気づき、微笑んだ。本当に微笑んで、こちらへ歩き始めたのだ。
「風花さん、だよね? 解剖学講義、一緒だった」
私はビールにむせそうになった。彼が私のことを覚えていたなんて。
「うん、そうだよ」。落ち着いて、風花。すごく落ち着いてるじゃない。
「もう一本いるみたいだね」と、彼は私の空になったボトルに気づいて言った。「それに俺も祝杯を挙げたいんだ。ウィンウィンだろ?」
どうやら煌は、白桜総合病院の麻酔科レジデンシープログラムに合格したばかりだったらしい。彼の夢の仕事は、きっと彼の恵まれた人生における他のすべてと同じように、いとも簡単に手に入ったのだろう。
「すごいじゃない」と私は言った。心からの言葉だった。「すごく興奮してるでしょうね」
「怖いよ」と彼は打ち明けた。意外だった。「君はどう? 卒業後はどこへ?」
私は新しく手にしたビールを一口、長く呷った。「うん.......まだ、考え中ね.......」
予想していた憐れみや見下したような態度ではなく、煌の目は和らいだ。「就活って最悪だよな。俺も八つのプログラムに応募して、七つは落ちたんだ」
「でも、一番行きたかったところに行けたじゃない」
「ああ、でも不採用通知はやっぱり地獄のように堪えるよ」。彼が近づいてきて、コロンの香りがふわりと漂った。きっと私のひと月分の食費より高い、高級な香りだ。「少し外で風に当たらない? ここ、うるさいし」
私たちはアパートの屋上に出て、キャンパスを見下ろした。授業中とは比べ物にならないほど、会話はスムーズに流れた。煌は、私が想像していたような、手の届かないゴールデンボーイではなかった。レジデンシーが始まることに緊張し、家族の期待に応えられるか心配し、自分に人の命を救えるほどの頭脳があるのか確信が持てずにいた。
「煌さんなら、素晴らしい医者になるわ」と私は言った。本心だった。
「君も素晴らしい看護師になるよ」と彼は返した。「君を雇える病院は幸運だ」
彼がそう言った時の眼差しに、私の胃はひらひらと舞った。
私たちはパーティーがお開きになるまで、人々が千鳥足で家に帰ったり、ソファで寝落ちしたりし始めるまで話し続けた。煌は私のアパートまで送ってくれて、ドアの前に着いても、どちらもさよならを言う準備ができていないようだった。
「上がってく?」言葉が、止める間もなく口からこぼれた。「つまり、話の続きを。コーヒーならあるわ」
煌の笑みは柔らかく、少しだけ不確かだった。「いいね」
私たちはコーヒーを淹れることはなかった。
私のアパートのドアが背後で閉まった瞬間、何かが変わった。一晩中高まっていた緊張の糸が、ついにぷつりと切れた。煌がキスしてきた時、それは最初、優しく、ためらうかのようだった。まるで、私に身を引くチャンスを与えているかのように。
身を引きたくなんてなかった。不採用通知も、不確かな未来も、煌が手の届かない存在だという事実も、すべて忘れたかった。
私たちは私の寝室へ移動した。それは映画で見るような、荒々しく、必死なセックスではなかった。甘く、丁寧で、完璧だった。煌は私の名前を、まるでそれが貴重なものであるかのように囁き、私が壊れかねない価値あるものであるかのように触れた。
その後、私たちはシーツに絡まりながら、太陽がブラインドの隙間から差し込み始めるまで語り合った。彼が私の肩に気だるげな模様を描いている間、私は父の診療所で育ったこと、昔からずっと人を癒す手伝いをしたいと思っていたことを話した。
「また会えるよな?」夜明けが私の部屋を金色に染める頃、彼は尋ねた。「これって、ただの卒業記念の一夜限りじゃないよな?」
「そうじゃないといいな」と私は囁き、ここ数ヶ月で一番幸せな気分で眠りに落ちた。
目が覚めた時、私は一人だった。
枕元には、煌の丁寧な筆跡で書かれたメモがあった。「家の用事で急いで出なきゃいなくなった。後で電話する。 K」
私がまだ微笑んでいると、誰かがドアをノックした。
