チャプター 10

細部に目を落とし、彼は眉をひそめた。だがすぐにそれを脇へ追いやると、再び仕事に没頭した。

ネイサンがようやく仕事を切り上げたのは、すでに真夜中を回ってからのことだった。彼はバルコニーに立ち、夜空を仰いだ。夜は更け、邸宅は完全な静寂と闇に包まれている。夜空の下、彼の鋭い瞳はいつも以上に鮮烈な輝きを放っていた。

彼は主寝室の前を通りかかり、そのまま中へと足を踏み入れた。ヒルダは安らかに眠っていたが、夜中に熱がぶり返すことを案じ、少しの間様子を見ることにしたのだ。

ベッドサイドに立ち、ヒルダを見下ろす。高熱で赤らんでいた頬は、すでに平常の色に戻っていた。その寝顔は、息をのむほどに美しかった。

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