チャプター 1016

セイラムの手によって、ただの私生児からダミアン家の令嬢へと引き上げられたとはいえ、サハラには会社の権利や株式を手にする見込みなど万に一つもなかった。だからこそ、彼女は権力者たちに取り入るために全力を尽くしてきたのだ。それだけが、富豪の家に嫁入りし、ダミアン家全員を自分の足元にひざまずかせる唯一の道だったからである。

ヒルダの満ち足りた表情を目にし、そのあまりにも順風満帆な人生を思うと、サハラの胸は嫉妬で張り裂けそうになった。

ヒルダの兄も、母親も、そして夫までもが、彼女に株式や遺産を譲り渡している。それどころか、DABグループを立ち上げ、企業を買収するための資金まで提供しているのだ!

(...

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