第1065章

ネイサンは十二月の最後の数日間、多忙を極めていた。例のGカップの女の一件は、カイルだけでなくコニーにも関わる問題だった。そのため、ネイサンは相手方の意図を探らなければならなかったのだ。

丸一日かけてこの件を片付け、ようやく帰宅したネイサンを待ち受けていたのは、思いがけない事態だった。半年以上も手塩にかけて育ててきた温室のバラが、盗まれていたのである。

ネイサンは、ぽっかりと空いた大きな穴を呆然と見つめた。

するとリリーが説明した。「お隣の金髪の男性が、バラをお借りしたいとおっしゃいまして。でも、一本ずつ摘むのは面倒だからと、区画ごと掘り返していかれたんです。奥様のご機嫌が直ったらお返しす...

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