第1107章

冬の夜のことだ。

二人が歩き始めて十分ほど経った頃、角を曲がると、前方に数階建ての明るく照らされた建物が現れた。

見たところ、小さな……モーテル? モーテルなの? 彼女は呆気にとられた。展開が早すぎない? い、いや。手順がおかしいでしょ。

まず食事をして、ショッピングを楽しんで、映画を見て、それから遊園地のメリーゴーランドに乗るのが筋ってもんでしょう。目が回った後は、観覧車の一番高いところで愛を語らって、正式に付き合うことになる。何度か喧嘩して、仲直りして、愛が深まって……そうして自然な流れでホテルの常連VIPになるものじゃないの?

悲しいかな、彼女が考えをまとめる暇もなく、レックスは...

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