第1265章

アンソニーはレックスに撃ち落とされて以来、男として最も大切なものを失っていた。身体的な欠陥を抱えたまま死ぬのは御免だと、彼は必死でそれを取り戻そうとしていた。そのため、クラウスがスポーツをしにターディ大学へやって来るたび、ディーンはアンソニーを呼び出し、一緒になって彼をいじめていた。

皮肉なことに、三つの杏の種を奪い返すどころか、何度か顔を合わせるうちに、アンソニーはいつの間にかクラウスの専属ボディーガードになってしまっていた。

「まさかお前、あの睫毛の長い緑の目のガキのボディーガードになるつもりか?」

アンソニーがクラウスから労働契約書を受け取ったばかりだというのに、情報通のネイサンは...

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