チャプター 21

暗殺者……!

ヒルダの脳裏に真っ先に浮かんだのはその言葉だった。相手は高度な訓練を受けた殺し屋だ!

レックスもまた、ただの一般人ではない。容易な標的であれば、今の地位には上り詰められなかっただろう。刃が心臓を貫こうとしたその刹那、彼はとっさに足を伸ばして背負っていたバッグを前に引き寄せ、間一髪で凶器を受け止めた。バッグの中には二つの額縁が入っており、それが彼の命を救ったのだ。

「早く、逃げろ!」

暗殺者に組み敷かれもみ合いになりながら、レックスは大声でヒルダに叫んだ。

だが、その声が響き渡るや否や、女暗殺者の体が激しく痙攣した。手からナイフが滑り落ち、彼女は白目をむいてレックスの横に崩れ落...

ログインして続きを読む