チャプター 37

ネイサンがターンテーブルを回し始めると、音楽が鳴り響いた。流れてきたのは、非常にアップテンポなナンバーだ。十年以上ブランクがあったとはいえ、ネイサンの腕は全く衰えていない。彼が繰り出すミックスには、聴く者を熱狂させる不思議な感染力があった。観客のボルテージは、すでにナイトクラブのそれを凌駕している。ヒルダのパフォーマンスは、まだ始まってすらいないというのに!

会場にいる誰もが、ここが「ミス・ミスティ」コンテストのステージであることを忘れてしまっているかのようだ。主役である出場者のヒルダは、まだ何もしていないのだから。

ネイサンは彼女たちとリハーサルを行っていなかったが、テンポさえ把握できれ...

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