チャプター 35

ヒルダはその値段に仰天した。「5055ドルだって!」たかがバッグ一つに、あまりにも高すぎる。仕事を辞めたばかりだし、帰国してから既にかなりの散財をしてしまっているのだ。

どうやって5055ドルなんて大金を捻出せよというのか! 彼女は反論の言葉も見つからず、ただグロリアを見つめた。その時、通知音が鳴り携帯が震えた。

待ちくたびれたナイマからかと思ったが、驚いたことにそれはネイサンからのメッセージだった。「ごめんよ、ハニー。君の口座に入金するのを忘れていた。今、手続きが完了したよ。必要なものがあれば何でも使ってくれ。今夜カードを渡すと約束する。愛を込めて」

ヒルダは驚き、思わず笑みをこぼした...

ログインして続きを読む